2015年度JIA東北支部運営・活動方針

公益社団法人 日本建築家協会 東北支部
支部長 辺見美津男

昨年11月、原発事故の帰還困難区域へ立ち入り「あとから来る者のために」のテーマで行われた福島の支部大会では「復興」という二文字が途方もなく遠くに霞むような印象を多くの参加者に与えたのではないでしょうか。また、原発災害の様々な情報が錯綜するなかで「現場に立つ、現実を見る」ことによって「文明災禍」への正確な思考が呼び覚まされ、いったいこの社会は「何のために、誰のために」あるのかを深く考えさせられる支部大会でありました。

福島支部大会でも感じたように、復興は世代を超えて続く遠い道のりです。当事者の我々は、この現状に無力であることをかみしめながらも「くらし」「住まい」に対峙する自分たちの日々の職能を「コツコツ」と、あたりまえなことを馬鹿がつくぐらいあたりまえにと取り組んで行くことこそが大切であると考えます。
「一人ひとりが、それぞれの持ち場で全力を尽くすことによって社会全体が明るく照らされる」という千数百年前に記された「一隅を照らす」という古くて新しい言葉があります。震災から4年が過ぎ「復興は遅々として進まない」ということだけがことさら叫ばれる中で、時間だけをあおる仕業があらゆる場面で見えてきていますが、今こそ足元を照らし、本質をしっかり伝える活動が求められているように思います。

今年度も引き続き地域会活動を主体としてのネットワークから、特に被災3県、岩手地域会の「大船渡市碁石泊里地区防災集団移転住宅相談支援」宮城地域会の「みやぎボイスをはじめとする関連団体の連携」そして福島地域会の「あとから来る者のために」等の取組みの支援によって東北6県一体となっての復興への共通認識をさらにはかっていきます。

芦原会長の「JIA会員が全員登録建築家になる」という提言による会員制度改革は今年6月からの実施に向け全国での会員集会が開催されました。しかし、JIAの今後に大きくかかわる問題として性急すぎるのではという観が否めないのが実態のようであります。しかし、60年あまり経過した建築士制度も時代の変遷により求められる建築家像が大きく変わりつつあることも周知の事実でありますから、一人ひとり自らの問題として積極的に考え話し合うべき事項として取り組んでいただきたいと思います。

JIAはとても個性の豊かな地域建築家の集まりということが最大の魅力です。それは、それぞれのバラバラな想いが重なることでその違いが引き立つ魅力です。今年もおおいに楽しく重なって楽しく議論を深めていきましょう。

2015年度 主な骨子(案)

  1. 次世代を担う若い会員と学生会員、ジュニア会員の加入拡大とそれに伴う組織の再編
    次に来る者の道をつくることこそ復興の道。各地域会と連携して若者が入会する環境を整備します。(まずは地域の学生、事務所のスタッフから)
  2. 「地球環境・建築憲章」の再認識
    少子高齢、人口減少とエネルギー問題を抜きにして建築や街は語れない状況にあります。2000年に建築6団体が宣言した「地球環境・建築憲章」を再認識し啓蒙します。
  3. 各地域会とのネットワークを活用し、JIA独自の魅力を共有する会員同士の楽しい活動を支援します。
  4. 公益社団法人として本部、支部、地域会の関係性とそれに伴う組織運営の定着。
  5. 地域会による災害対応活動を支援して、本部や他団体との連携をはかります。

先の見えない復興の最中であるからこそ足元から「一隅を照らす」です。
どうぞ宜しくお願いします。

辺見 美津男

辺見 美津男 Mitsuo Henmi
1954年
福島県生まれ
1976年
日本大学工学部建築学科 卒業
1977年〜1990年
白河市役所 勤務
1991年
有限会社 辺見美津男設計室 設立
2002年〜2006年
日本大学工学部建築学科非常勤講師
受賞
福島県建築文化賞
第28回
中島村生涯学習センター『輝ら里』特別賞
第29回
「作楽(さくら)」優秀賞
日本建築家協会優秀建築選
2006年
「中島幼稚園」
2008年
「作楽」
2009年
「白河南中学校」
2012年
「認定こども園ぼだい樹西こども園 西保育園」
2013年
「二本松市立とうわこども園」
ふくしま住宅コンクール
第10回
「T邸」最優秀賞
第19回
「子育て世代の家」最優秀賞
JIA東北住宅賞
第1回
「地域コミュニティ再生長屋」奨励賞
日本建築学会東北建築賞
2006年
「中島幼稚園」奨励賞
空間デザイン・コンペティション作品例部門
第19回
「二本松市立とうわこども園」優秀賞
うるおいのある教育施設部門
2006年
「中島幼稚園」(社)文教施設協会賞